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2008.08.13 読売新聞に記事掲載されました

歯科医小菅さん碑に誓う
歯型照合迅速化システム開発

読売新聞(2008.8.13)

 歯のエックス線写真を使った身元確認作業を迅速にできるシステムを開発する高崎市上中居町の歯科医・小菅栄子さん(36)も12日、慰霊登山に訪れた。事故当時、警察医として遺体の身元確認にあたった歯科医の父・篠原瑞男さん(62)と、同システムを共同開発する東北大の青木孝文教授(43)らと同行した。

 篠原さんは、歌手の坂本九さんの身元も確認した。現場で見つかった歯のエックス線写真と、全国の歯科医院などから取り寄せた膨大な量のエックス線写真とを、目視で1枚ずつ照らし合わせたが、撮影する角度が様々なため、治療痕などを手掛かりにしても、身元特定には手間がかかった。

 そんな父の背中を見て育った小菅さんは、「大規模災害で多数の人が犠牲になった時に、迅速に身元確認できるシステムがあれば、遺族の気持ちを少しは和らげられるかも」と考えた。大学を卒業した1996年ごろから、コンピューターに取り込んだエックス線写真の画像を照合できるシステム作りに取り組んだ。

 2006年には、画像のひずみを補正する仕組みを研究する青木教授らと開発を始めた。精度が向上し、照らし合わせる画像の3、4%にまで候補を絞り込めるようになり、実用化も視野に入った。研究成果は07年11月、アメリカで開かれた放射線の学会でも評価され、今年5月には国内の歯科放射線学会で学術奨励賞も受けた。

 小菅さんは、この日午前10時ごろ、昇魂之碑に向かい、心の中で犠牲者に研究成果を報告し、「初心を忘れず、これからも頑張ります」と誓った。

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